2016年3月8日、出版社の皆様・日販さんのご協力をいただきながら 当日は書店員25名の方にお集まりいただきブックサキッポ第1回を行いました。

 

当日、お話したことをまとめてみましたので、何か日頃の店づくり、お仕事のヒントになれば幸いです。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

本の売り方以前に、以前から書店員のコミュニケーション能力が低いように思っていました。よく言えばシャイというか。でもサービス業なのにシャイで勤まるんだろうか?とも思っていました。

そこで僕は日頃、どうやってコニュニケーションをとっているのかをお伝えしようと思い「恵文社・宮川はどうやって取次さん・出版社さんと付き合ってきたかそして付き合っているか」をテーマにお話しさせていただきました。

 

僕の働く恵文社バンビオ店の取次さんは日販です。

コミック担当歴20年、働いてきて思うのは、怒っても意味がないと言うことです。

以前、僕は配本が希望通り入荷しなかったり客注が届かなかったり、そういうことでよく怒っていたのですが、(日販さんから鬼という仇名がついていた、という噂も)この年になり(41歳です)様々な仕組み、慣習を理解した上で改善を要求することはあっても怒るということが少なくなったように思います。

 

例えば客注品が入荷しなかったとしましょう。

その時に営業担当者にどなりちらし、すぐに持ってこい!と、言うのか

お客様がお待ちなので何とか午前中に持ってきてもらえないだろうかと

伝えるのに両者には大きく差があります。

同じ言い方でもおそらく両者とも午前中に商品が入荷するでしょう。

そして営業担当者さんは前者に対し、好意的な思いはいだきません。

 

すごく売れていて市場で枯渇している書籍がその営業担当者の手元に10冊入ったとしましょう。

こういった場合、その10冊が入荷するのは後者の書店です。

みなさんがもし営業さんだったら暴言ばかりはく書店に売れる本を渡します?。

僕なら絶対に渡しません。仲よくしてる書店員に渡します。

 

僕は営業担当者とも仲良くしているのでこういった場合、得をしています。

現在、自分の店が売上昨年対比100パーセント以上で、返品率を下げ

取次さんに対して自分のお店は良い取引先ですよというアピールをしているのも事実です。

 

が、やはり重要なのは人間関係でしょう。

取次の担当者も人間であると言うことを忘れず、より良い人間関係を作ることが店の得につながると考えています。実際、僕は得してます。

 

出版社さんとどうつきあってきたか。

 

以前に比べれば出版社さんは身近になったように思います。

僕自身、出版社さんは本を作っているところ、仲よくするのは取次さんだけでいいか!と思っていた時もありました。

ただ、取次さんにない本の追加は出版社さんからもらわなければいけません。

なので出版社さんとのお付き合いが必要なのです。

 

出版社さんに、売れている新刊の追加をください!と言ってもどこでも売れている新刊を、はいどーぞ、と希望数もらえることはそうそうないと思います。

どこでも売れる本をある程度、売れるとデータ上でわかっている大きな書店さんに優先的に送っている、なので郊外の書店なんかには入らないと思っている書店員さんもいるかもしれません。それも、もちろんあるかもしれませんが、それだけなら当店のような100坪クラス、人口8万人の駅前書店にも届かないことになります。

でも実際はきちんと入荷しています。

以前、某大作忍者マンガの最終巻が売れに売れ、大型書店もネットも全滅、そんな状態が1か月以上、続きましたが、当店にはありました。山積みです。前巻の倍売れました。どこにもない本がある、というのはお客様からの信頼に変わります。 

どうして在庫があったのか。一言でいうと信頼を得ていたからです。仲良くしていたからです。

 

じゃあどうやって仲良くなるのか。

各社、営業さんは書店からのラブコールを待っているのです。

「今月出た●●という作品の1巻最高!売りたい!」「売りたかったから売り場を作りました!」

そういう売りたい!読者に届けたいという思いを伝えてください。

出版社さん主催のフェアに参加するのもいいでしょう。

 

ただ、そういうことは継続しなければダメです。

 

出版社をカワイコちゃん(イケメンでも可)に例えてみましょう。

毎月、いや毎週、もしかしたら毎日熱烈アプローチをしたマメな人と、好きって言ったけど1年ぐらい音信不通。どっちと仲良くなるかなどわかりきってるじゃないですか。

みなさんもぜひ熱烈アプローチを!一緒に商品を売りたいと思える信頼関係を作ることが重要です。

  

一通り、お話した後、質問いただいたことに答えました。

Q:1巻目の追加のタイミングは?

作品によるでしょう、と答えたんですが、念のためみなさんに質問しました。

1巻目が出るマンガの1話目、事前に読む人いますか?との問いに

手をあげたのは数人。20%くらいかな。ビックリしてしまいました。

え?じゃあほかのみんな1巻目、入荷数が少なかったり売切れたら追加どうしてるの?と聞いたらみなさん無言と苦笑い。

僕の場合は僕がおもしろいと思ったら15冊~20冊くらい追加を。

面白いと思わなかったら追加しなかったり需要がありそうなら1~2冊そっと。

面白いとは思わなかったけど、きっと「●●」という他の作品が好きな人なら

購入してもらえそうだから5冊など。

でも、そんな判断も中身をわかっていないとできません。

 

そこで1話を読むことの重要性をお話しすることに。

 

当店のコミック売り場にこられた方は知っているかもしれませんがすごい数のサイン色紙がコミック売り場をグルーっと取り囲んでいます。今回の会の参加者のみなさんも会の事前にほとんどの方がお店に足を運んでくださってました。

みなさんに聞きましたがほとんどのお店にサイン色紙がありません。

でもサイン色紙欲しいでしょ?と。

そこで急遽、サイン色紙のゲットの仕方講座を開講。

 

秘密は1話目を読むことにありました。

 

1話目をよむ→おもしろいと思ったので出版社の営業さんに売りたいと伝える→

売り場を作って写真を撮ってメールや封書を送る。→営業さん喜ぶ→編集さんに伝える→編集さんも喜ぶ→作家さんに伝わって作家さんも喜ぶ→作家さんサイン色紙描くからお店に置いてほしいと思う。→サイン色紙が書店に届く

 

という流れ。

素晴らしいことにみんな幸せになるという…!

 

1話目をよむということは作品を知ってるのでオススメしやすく追加の判断もしやすく売りたいと思い、その想いを出版社側に伝えれば、うまくいけばサイン色紙までもらえちゃうというなんというお得なことなのか、ということをお伝えしました。

 

と、ここまでが第1回のおおまかな内容でした。

みなさんの真剣なまなざし、なんだか予備校の先生になったような気になり

参加いただいたみなさんのお店に少しでも役立っていればいいな、と思いました。

 

次回は、バンビオ店の希望数・入荷数・配本数・販売数が一目でざっかりわかる

シートをお渡し予定です。みなさん、どの作品をどれぐらい補充すればいいのか

なによりどれを積んだらいいのか、返品率を気にしすぎてどうすればいいかわからなくなっているのでは?と思ったのでヒントになるかも、と思いましたので

こちらを参加者の書店員さんに配布予定です。

次回、よろしければご参加ください。